- 看護師って病院で何してるの?という方
- 看護師を目指している方
- コロナウイルスの対応が分からない方
- すべての人(オススメというより、読んで知ってもらいたいです)
コロナウイルスが猛威を奮って1年近くになります。
現在、第3波が来ており、いつ自分にふりかかってもおかしくない状況になっています。
これを期に家族や大切な人とちょっとだけこれからについて考えてもらえたらと思います。
以前、コロナウイルスが病院に与えた影響について記事を書きました。
病院の現状が知りたいどんな影響があるのか知りたい コロナ陽性患者(重傷者)は大体の場合、公立の病院に運ばれます。ニュースでよく出ている集中治療室の多くはそこの病院のものです。[…]
その中では主に病院の組織的な側面に着目していましたが、今回は看護師に着目して紹介していこうと思います。
普段の勤務
看護師って普段何してるの?とよく娘に聞かれます。
病棟の看護師、外来の看護師、色んなジャンルがありますが
まずは病棟看護師の仕事の流れについて紹介していきます。
おそらく入院していても気づかないこともあると思います。
- 観察、記録(2時間ごと、日勤8時間であれば、4回)
- 清拭、陰部洗浄、更衣、シーツ交換(体を拭いて着替えるお手伝い)
- 点滴の管理、内服薬の管理
- 術後の患者の創傷処置の介助
- 尿、ドレーンの排液の破棄
- リハビリ(立ったり、座ったり、歩いたり、筋トレしたり)
- 手浴、足浴、洗髪、髭剃り、歯磨き、ご飯のお手伝い
- ご飯の形態(普通のご飯なのか、お粥なのか、パンなのか、補助食は必要か)
- 必要時は栄養科に相談
- 血糖測定、採血
- 入院患者、術後患者の対応
- どうすれば退院に近づけるか考える
- どうすれば機能低下せずに過ごせるか考える
- 病気について考える
- 医師へ指示の確認(変更や追加、修正がないか)
- 家族への連絡、病状説明の日程調整
- 検査へ連れて行く(CT、MRI、エコー、透析、内視鏡等)
- 書類関係の処理
- 反省会
ざっくりと書きましたが、これくらいあります。
これが多いかどうかは別として、これが看護師の実際の仕事です。
正直、娘に聞かれてどこまで言うか悩みました。
コロナウイルスによる影響
ここからが本題です。
普段の仕事に加え、どれくらい負担が増えたかについて説明していきます。
4つ紹介していきます。
マニュアルの作成、把握
まず一つ目はマニュアルの作成です。
病院ごとに独自のマニュアルを作成していきますが、主に感染対策委員会に所属している看護師、医師が作成していきます。
コロナウイルスに感染した患者が来院した際にどのように対応していくか、が記載されています。
A4用紙で100枚くらいあります。(盛ってないです…)
0からマニュアルを作成していくのは想像を超える労力が必要になります。
しかし、それを把握して統一した対応をしていくのも、なかなか骨が折れます。
さらに、コロナウイルスに関する研究も進んできているため、最初に設定した対応では不十分ということで修正され続けています。
毎日のように院内メールで変更点のお知らせが届き、それを把握しなければなりません。
感染対策
私たち看護師は患者の近くにいる時間が1番長いです。
なので、感染対策ができていなければ、私たちがウイルスを運び、感染を広げてしまうリスクがあります。
患者から患者だけでなく、患者から家族、家族から市民へ感染を広めてしまうことになります。
アルコール消毒、マスク着用、換気、手洗いうがい、3密を避けるようなことはもちろんしなければなりません。
私の勤務先では、コロナウイルス陽性患者と関わる時は
- キャップ
- N95マスク
- ゴーグル
- ガウン
- 手袋
以上5点を必ず装着するようになっています。
また、以下3つのエリア・役割に分かれています。
- 患者と直接関わる人(レッドゾーン)
- 患者と絶対に関わらない人(グリーンゾーン)
- その2人の仲介をする人(イエローゾーン)
レッドの人は完全防備して患者対応をします。
何か必要な物があれば、イエローに伝え、イエローはグリーンに伝え、グリーンは物資をイエローに渡す。
そしてイエローがレッドに渡す、リレーのようになっています。
こうすることで、直接関わる人数が軽減され、感染拡大のリスクを抑えることができます。
また、こうすることで、ガウン等の医療物資の節約にもつながります。
その他、患者の搬送に使ったストレッチャー、エレベーター、備品等触れたであろうあらゆる物を拭いていきます。
ナースステーションのパソコン、テーブルなどは1時間ごとに拭くようにし、その際に換気も行っていました。
医療者が感染源にならないように、感染対策は絶対に守らなければなりません。
体調管理
出勤前に体温測定し、自部署に着いたら再度体温測定を行っています。(毎日)
また、少しでも体調が悪い時は連絡し休みをとるようになっています。
発熱があった場合は、解熱後48時間は休むことになっています(コロナ陰性の場合)
患者、家族だけでなく、私たちが病院の中にウイルスを持ってくる可能性もあります。
心身ともにしっかり休みを取って感染のリスクを減らす必要があります。
他患者への配慮
コロナウイルス陽性患者以外の患者も、もちろんいます。
外来から病棟へ上がる時には廊下を一時的に通行止めにして感染拡大を防いでいます。
また、検査に行く時も前もって連絡を取り合い、絶対に他患者と鉢合わせることがないように配慮しています。
みなさんの協力がなければ感染拡大を防ぐことはできませんね。
家族への対応
現在、面会を禁止している病院がほとんどだと思います。
患者・家族ともに不安な気持ちもあるかと思います。
ただ、現状としてはコロナウイルスに感染していても、していなくても面会が制限されています。
しかし、誰しもが感染するリスクを持っていて、一度感染すると重症化する可能性もあります。
口から管を挿れられ、家族と話すことすらできなくなります。
最近ではタブレットを使用して面会するケースも増えてきましたが、あくまで、タブレットはタブレットです。
直接、触れられる距離で話すことはできません。
そんな中でも、治療方針などの意思決定は誰かがしなければなりません。
その時のために、そうなった時のことを話し合っておく必要があります。
医師、看護師だけでなく全ての医療者が「家族と面会させてあげたい」と思っています。
しかし現実はそうではなく、いつもジレンマと戦いながら仕事をしています。
医療者だけでなく、家族が抱える負担も大きいです。
代理意思決定は簡単ではありません…
まとめ
看護師だけでなく、医療者の多くがコロナウイルスの影響で負担増大しています。
また、今までは味わう必要のなかったジレンマと戦っています。
これが、医療現場の実際です。
看護師に着目と言いつつ少しブレてしまいましたが、家族と話せる、触れられる今の時間を大切にしていきましょう。